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  • 2014.03.05 Wednesday
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政治文明論への招待 13)アメリカ文明は西欧文明か?

   年、国際政治においてアメリカと西欧諸国が対立するシーンが目立ちます。イラク攻撃に対するフランス、ドイツの反対をはじめ、つい先日はエアバス社にEUが補助金を出していることをWTOルールに違反するとアメリカが訴え、逆にEUはアメリカ政府によるボーイング社に対する補助金提供を、市場経済の原則に反すると批判しています。このように国際政治レベルでのアメリカと西欧の間の対立は、あげればキリがありません。しかし、それではアメリカと西欧は文明レベルで全く異質なものなのでしょうか。


  先日の明治学院で行った政治文明論の講義では、「アメリカ文明は西欧文明化か?」をテーマに取り上げました。社会構造、精神史、文化などの各面からみると、両者にはもちろん差異があります。なかでも、西欧で貴族社会と階級社会が深く根をおろしているのに対して、アメリカは階層を越えた移動を当たり前のこととし、「機会の平等」を尊重する社会です。もちろん、アメリカ社会にある人種差別や所得格差は隠しようもありません。しかし、ガレージから始まったマイクロソフト社が世界的企業に成長したように、能力と運に恵まれた者が社会的に成功できる機会が多い点で、アメリカを凌ぐ国はないでしょう。


  その意味で、アメリカと西欧は全く異なる社会構造をもっています。しかし、両者は文明レベルで考えたとき、限りなく同質性が高いといえます。これまで、近代西欧文明が生み出した特徴的な要素として、国民国家、資本主義経済、科学技術、民主主義をあげてきました。これら「四位一体」の近代西欧文明の中核を成す理念には、「内在性の尊重と超越性の拒絶」があります。つまり、自分(自分たち)のルールを決めるのは自分(自分たち)である、という考え方です。もっといえば、運命は自分で切り開けるし、そうあるべきだと考える立場です。この理念の外部を固めるイデオロギーには、個人主義、合理主義、「立場の平等」などがあります。


  この観点からみれば、西欧諸国はこれら近代西欧文明の要素を生み出したにもかかわらず、その実現において不完全であったといえるでしょう。それは、先に取り上げた貴族社会や階級社会です。生まれた階級や立場によって自らの一生や運命が規定される状況が根強くあることは、「内在性の尊重と超越性の拒絶」という理念に反するものです。つまり、個人主義や合理主義、立場の平等といったイデオロギーを生み出しながら、西欧ではそれらを社会的に実現したとはいえず、封建制の歴史を欠くアメリカにおいて、理念型に近いものになったのです。特に20世紀初頭の高度大衆消費社会の誕生は、社会的な因習から大部分の人間を解放し、政治的、経済的に自らの運命を自ら切り開くことを可能にする契機にしたといえるでしょう。


  いわば、西欧諸国で生まれた近代西欧文明は、アメリカにおいて完成したのです。第2次世界大戦後、貴族社会や階級社会が衰退したことで、西欧諸国も近代西欧文明の「完成型」に近づきました。しかし、超大国となったアメリカの影響力は拭いがたく、近代西欧文明の「完成型」に近づくことは結果的にアメリカ化することとなります。「分家」に過ぎなかったアメリカ文明が近代西欧文明のスタンダードになる構図は、しかし「本家」西欧諸国の拒否反応を当然のごとく招きます。ですから、文明レベルでほぼ同一のものとなりながら(あるいはそうであるがゆえに一層)、近代西欧文明による世界支配を脅かさない範囲で、国際政治レベルにおいてアメリカと西欧諸国が事あるごとに対立することは、不思議な話でないのです。


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