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  • 2014.03.05 Wednesday
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政治文明論への招待 7)民主主義の普遍性と特異性

   治文明論は今日、第6回の授業でした(講義資料はこちら)。これまで近代西欧文明の特異性について取り上げてきましたが、今日のテーマは民主主義。現代の世界では、民主主義の価値を否定できる国はほとんどありません。しかし、バンコク市内でのタイ軍と反政府勢力の衝突に象徴されるように、多くの非西欧の国では、制度的に民主主義を導入しながらも、その理念の実現が困難です。その背景には、国民の同意に基づく支配である民主主義もやはり、近代西欧文明に特異なものであることがあります。

  
  民主主義は、やはり近代西欧で生まれた国民国家、資本主義経済、科学技術との相互作用によって発展してきました。このうち、まず国民国家を取り上げると、「自分たちで自分たちを支配する」といった場合、「自分たち」を特定する必要があります。また、「支配される側/国民」が「支配する側/国家」と社会・経済的に結びついていなければ、政治に国民が関わる意義そのものが生まれません。その意味で、国民と外国人を差別化する国民国家の形成が、民主主義の前提条件となるのです。


  次に、資本主義経済。近代の西欧諸国では、資本主義経済の発達が貴族・地主から資本家層へエリート層の転換を促し、これが市民革命や議会政治の素地となりました。また、資本主義経済と産業革命のもとで労働者階級が増加し、貧困が社会問題化するにつれ、社会主義勢力の台頭が地主、資本家層にとっての脅威となりました。労働者、農民の不満のガス抜きとして、1920年代に各国で普通選挙が導入されたことは、既存の政治権力に対して、資本主義経済の発達とともに社会的に影響力の大きくなった階層が抵抗を試みる思想的武器として、民主主義が発達したことを示します。


  そして、科学技術です。科学技術の発達は産業革命をも促しましたが、その最も重要な影響は「非合理的な権威を拒絶する精神」を育んだことにあります。神が地球と宇宙を創造したシーンは誰も目撃していませんが、望遠鏡を覗けば天体の運行を自分で確認することができます。つまり、科学技術の発達は、観察と実験により、誰もが同じことを確認できることを真実と捉える、合理的精神を生んだのです。自らが納得できない理由付けを拒絶する精神と、観察と実験の結果における没個性に由来する各人の立場上の平等の観念は、国民の同意に基づく、一人一票の民主主義を生む精神的土壌になったといえるでしょう。


  このようにみてくると、民主主義が近代西欧諸国で発達したのは、歴史の必然であったといえるでしょう。言い換えれば、既に述べたように、民主主義もやはり近代西欧文明に特異な要素なのです。その意味で、いかに近代西欧文明の影響を受けてきたとはいえ、非西欧圏で民主主義の定着が困難であることは不思議ではなく、これは日本も例外でありません。資本主義経済や科学技術と異なり、その移植が非西欧圏の為政者にとって必ずしも都合のよくないものであり、また個々人の精神領域にも関わってくるものであるだけに、近代西欧文明の所産のなかで、最も波及効果が弱いのが民主主義であるといえるでしょう。

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