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  • 2014.03.05 Wednesday
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シリーズ 新・貧困と格差の国際政治 12)日本のODAを再考する

  発途上国における経済成長、社会厚生の向上を目的とする政府開発援助(ODA)は、先進国が開発途上国に対して行う富の再分配といっていいでしょう。援助は主に二つの動機付けによって行われます。一方には開発途上国の貧困を削減するという人道的なものが、もう一方には援助する側とされる側の友好関係を維持するという現実政治的なものがあります。前者の立場を優先させるNGOなどからは後者の側面が批判されることも稀でありませんが、他方で税金を使って行われる以上、それなりの理由付けを先進国政府はする必要があります。したがって、援助がこの二つの顔をもつことは、いわば宿命であるといえるでしょう。


  例えば、人道主義に基づいて援助することが北朝鮮国民にとって助かることでも、その独裁体制の延命に繋がることもあり得ます。逆に、いくら関係を強化したいからといって、産油国にばかり援助していたら、より貧しい国が放置されることにもなります。援助対象の選定やその実施形態は、人道主義と現実政治という相反する要素を両立させるという、極めて難度の高い事柄なのです。しかし、そこで問題になってくるのは、両者の立場のバランスをいかにとるか、ということです。その観点からすると、日本の援助は後者、つまり現実政治的な色彩が濃い、ということができるでしょう。


  下の図は、先進各国の援助の比較です。まず、後発開発途上国(LDC)と呼ばれる、最も貧しい部類の国々に対する援助の比率は、援助がもつ二つの顔のうち人道主義の大きさを表すといえるでしょう。これでみると、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの大国ほどLDC向け援助比率が低いことがわかります。つまり、将来性の高い開発途上国に援助することで、そことの友好関係を維持しようとする傾向は大国ほど強いといえます。逆に先進国のなかでも小国、とくに北欧諸国は大国の手薄なLDC向け援助の比率を増やすことで、一種のイメージ戦略に成功しているといえるでしょう。いずれにしても、下から二番目の日本は、最も貧しい部類の国にあまり眼を向けてこなかった、といえるのです。


(出所)UNDP, Human Development Report 2007-08.

  次に援助内容で比較すると、医療、教育などの基礎的社会サービス分野での援助は、開発途上国の貧困層に直接関わる領域です。下の図からは、日本の援助が、この点においても比率の低いことがわかります。ただし、この点については留保も必要です。援助に占める基礎的社会サービス比率の高い国には、イギリスをはじめいわゆるアングロ・サクソン系の国が目立ちます。これらの国は、そもそも自分たちの国でも、政府が果たす役割を社会分野に限定する傾向があります。逆に、日本と同様に政府が経済活動に関与することで経済発展してきたフランス、イタリア、ドイツなどの大陸諸国は、この分野の比率が低いことがわかります。さらに、電力、港湾、道路などの経済インフラの整備もまた、開発途上国の長期的な開発には不可欠であることから、基礎的社会サービスの比率が低いことだけで批判することもできません。


(出所)UNDP, Human Development Report 2007-08.

  とはいえ、基礎的社会サービスの比率を増やすことは、国連での合意事項です。にもかかわらず、経済インフラ援助の比率があまりに高いことは、「第2の公共事業」とみられても仕方ありません。また、最近では経済インフラの整備でも民間企業が建設し、一定程度操業した後、対象国政府に引き渡すBOTという手法があり、必ずしも全てを公的な援助でまかなわなければならないわけでもありません。BOTは既にJICAや経産省でも行われていますが、これをより普及させることで、基礎的社会サービスの比率を増やすことは可能です。そしてこれは、日本企業に公共事業を提供している、あるいは自国の利益のために援助しているという批判を緩和するうえで欠かせないといえるのです。


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