スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 2014.03.05 Wednesday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

ストレスと排外主義と「大人社会」:反中、反韓世論の高まりに思う

  国大統領の竹島上陸や天皇の「訪韓」発言、また香港漁船の尖閣諸島上陸と、日本では急激に近隣諸国との摩擦がヒートアップしていることは、日々のニュースで伝えられている通りです。

  いずれも、基本的には中韓両国の国内事情、特に政府の置かれた立場を反映するものといえます。なかでも韓国の李明博大統領の場合、政権関係者の汚職問題や経済問題などで支持率が低迷するなか、今年12月の大統領候補選挙を控え、根深い反日感情を政治的に利用していることは明らかでしょう。さらにまた、香港や中国の場合も、言論統制などに対する当局への不満が鬱積するなか、反日的なアピールだけはある程度許容することで、結果的に共産党にとってはガス抜きの効果があるのです。いずれも、国民の間に根深い反日感情が背景にあるわけですが、政権担当者たちがそれを政権維持のために利用している、という側面も否定できません。その意味で、多くの日本人が「理不尽だ」という憤りや反発を覚えることは、無理のない話です。

  一方で、なぜこのように、日中、日韓の関係がギクシャクするのかを考えたとき、戦後賠償のあり方や歴史認識の問題だけでなく、それぞれの社会、あるいは世界全体の情勢が大きく作用しているといえます。

  1929年の世界恐慌後、やはり多くの国で狭隘なナショナリズムと排外主義が渦巻きました。個人レベルでもそうですが、社会においてもやはり、「なりたい自分」と「現にある自分」の間の乖離が激しい場合、そしてその差を埋めるために頑張ってみてもうまくいかない場合、それはストレスとなります。もちろん、そう簡単にストレスを発散させることはできないため、それは蓄積しがちです。それがリミットを越え始めると、人間は精神の安定を求めて「はけ口」を求めます。つまり、不満や憤りをぶつけられる対象です。第一次世界大戦後、巨額の賠償金を背負わされ、さらに世界恐慌が重なったドイツで、ユダヤ人や同性愛者といった「ゲルマン人らしくない」人たちをスケープゴートにしたナチスが人々の支持を集めたことは、偶然ではないでしょう。

  現下の世界は―オリンピックで一時的に気分転換ができたとしても―ヨーロッパの信用不安に端を発する不景気の只中にあります。日本から見れば好調に写る中国にしても、格差の増加だけでなく、ヨーロッパ向け輸出の不振から成長が鈍化しつつあります。情報端末や薄型テレビなどが好調の韓国も、貿易に依存した経済構造から、今年は2008年の金融危機後、最悪の交易条件に直面しているともいわれます。日本については、もはや言うまでもありません。

  すなわち、他者からみてどうかではなく、それぞれの社会の基準からして、社会的、経済的な不安とストレスが増幅していることは確かです。

  このなかで、中国や韓国の政権担当者たちにとって、日本が「不正義」と名指しすることに、少なくとも国内の政治的リスクが少ない存在としてあることは確かです。そして、領土問題という、外交で処理することが最も困難な部類に属しながら、最も国民感情に訴えやすい部類の問題があれば、引火することは簡単です。いわば、日本は中国、韓国のストレスの「はけ口」になっている側面があるのです。

  もちろん、その背景に過去の植民地支配、充分であったか疑問の余地のある戦後賠償、南京大虐殺や従軍慰安婦をめぐる政府間の歴史認識の問題(南京で殺された人数の信憑性や、慰安婦の徴収に軍自体が関わったか否かは、問題の本質でないと思います)など、日本側に原因と責任の一端があることを考えれば、強く出ることに躊躇があることも確かです。そして、その状況で、いわば「言われっぱなし」と捉える感覚が、日本側にとってストレスを増幅させることにつながります。ただでさえ、中高生にまで、将来への不安感が充満している状況下、こうしたストレスがリミットを超え、社会全体で反中国、反韓国の感情に行き着くことは容易です。

  ただし、反中国、反韓国の主張を掲げることは容易ですが、それが生産的か否かといえば、全く非生産的と言わざるを得ません。それは、日中間の貿易・経済関係が緊密であることや、日本側に少なからず原因がある、というだけではありません。激昂して「正義」を強調することが、問題の解決にはならないからです。

  少なくとも一般社会では、どこの国であれ、素のままの不満や憤りをぶつけることが好まれないということは、多くの人が理解しています。ところがストレスが高くなってくると、高まった不満を吐き出すために、何らかの「正義」を掲げ、「不正義」とみなすものを強圧的、一方的に処断するという行動パターンが生まれます。電車の中などで、少し態度が悪い若者に、いかにも真面目な勤め人風の中高年が突然切れて怒鳴り散らす光景は、まさにこれです。切れ方にもよりますが、周囲からみた場合、中高年もまた、態度の悪い若者と同レベル、あるいはより「イタイ」存在に写り、その言っている内容に関わらず、賛同しにくくなることは、稀ではありません。

  この比喩の若者と中高年のいずれに日本と中国・韓国が該当するかは、各人の判断に委ねたいところです。ここで重要なことは、強圧的に「正義」を叫ぶことは、身内にはともかく、周囲からの賛同を得られにくい、ということです。

  「毅然とした態度で」というのは、どの党といわず、政治家が好きな言葉です。それがどんな内容であれ、基本的に「原則を守る」こと自体は賛成です。しかし、無闇に大騒ぎするだけが、「毅然とした態度」ではないはずです。日本の立場や原則の正当性を、国際的に強調したいなら、むしろ穏やかな口調で語った方が、説得力が増すはずです。その意味では、竹島の領有に関して、国際司法裁判所に付託する提案をしたことは評価してよいと思います。また、香港の活動家の尖閣諸島上陸を力ずくで阻止しなかったことも、冷静な対応だったといってよいでしょう。しかし、いかに支持率が低迷しているとはいえ、民主党政府の閣僚からも、対立の土俵に乗るかのような発言が相次ぐことは、それこそ国益に反するものと言わざるを得ません。

  現代の国際社会は、一種の「大人社会」です。100年前なら、「子ども社会」と同様、揉め事があったときに、力ずくで解決することができました。しかし、貿易や金融取引の増加により、経済的な相互依存関係が深まることは、仮に相手に一方的に損失を与えれば、それが翻って自分にも返ってくるため、間違っても武力で物事を解決できない関係になることを意味します。そのなかで、いかに自分の正当性を周囲や相手に認知させるかが、大人の身の処し方のはずです。
  
  それにより、さらにストレスがかかることは間違いありません。しかし、少なくとも予想される限りの将来において、我々はその時代環境で生きていかざるを得ないのです。目指すべきは「大人社会」での問題処理であり、相手が仮にそのルールに乗らなかったとしても、「大人」としての振る舞いを辞めることは、日本にとって決して得策ではないのです。 

スポンサーサイト

  • 2014.03.05 Wednesday
  • -
  • 20:28
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
非常に知的な正論だと思います。しかし、殆どの人間が「愚かな、感情が支配する動物」で、「知的で理性のある人間」は少数でしかないと考えると、この論の様にはいかないでしょう。しかも、この論のとおり、中・韓が「領土問題を目くらましに利用し、自国民を、それこそ、愚かな感情の支配する動物に駆り立てている」のですから、どーしょうもないと思います。で、私は?といいますと、ずーと昔から嫌韓、嫌中国なので、彼の人たちとは関らない様努めています。
  • ken
  • 2012/09/15 12:05 AM
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

iPad用の電子書籍アプリを作りました![佐門准教授と12人の哲学者]


公式サイト

カレンダー

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>

最新エントリー

カテゴリー

アーカイブ

プロフィール

search this site.

sponsored links

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM