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  • 2014.03.05 Wednesday
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中国で中国の対アフリカ政策を考える

  昨日、中国から帰国しました。約10日間で上海、浙江省、そして新疆ウイグル自治区を回ってきました。日本大学を中心とする共同研究プロジェクト「中国の対アフリカ政策」で浙江師範大学での会合に出席した後、やはり日本大学と新疆の石河子大学との中央アジア関係のシンポジウムに出席してきました。わりとタイトなスケジュールで、そのせいか今日から始まった拓殖大学の授業では、やや足元が怪しい瞬間もありました。


  浙江師範大学での研究会


 浙江師範大学に併設されているアフリカ博物館


   しばらく前から、中国の対アフリカ政策が注目を集めています。特に2003年以降、ダルフールでの内戦でアフリカ系国民を虐殺したとして、スーダンのバシール大統領が欧米諸国から非難を集め、それに付随して中国も批判の対象になりました。国家主権を前面に押し出し、「不干渉」の原則にのっとって、スーダンの内政に関与せず、その油田開発に率先して投資してきたからです。中国はICC(国際刑事裁判所)から指名手配されるバシール大統領と友好関係を保ってきたのです。

  中国の対アフリカ政策は、このように資源を確保するための国家戦略として、なりふり構わずアフリカに進出するものとして描かれてきました。確かに、その側面は否定できません。

  中国は2000年からアフリカ諸国首脳との「中国―アフリカ協力フォーラム」を開催しています。ここでは再三に渡って、"win-win"が強調されています。つまり、中国がアフリカに進出することで、アフリカ側も輸出の増加などによって利益を得られる、というのです。実際、中国の対アフリカ貿易は2003年頃から中国側の入超です。中国はアフリカとの貿易において、440品目を無関税輸入の対象にしています。これは、中国との関係が、輸出を通じたアフリカの経済成長に役立っている、という論拠になります。


  IMF, Direction of Trade Statistics Yearbook.

  ただし、その対アフリカ貿易のうち、中国の輸入の80パーセント以上は、石油を含む天然資源です。そして、大陸随一の経済力をもつ南アや、歴史的に関係が深いザンビアを除けば、主な輸入先は産油国ばかりです。

        中国の対アフリカ輸入額(2009年:100万ドル)
   
  IMF, Direction of Trade Statistics Yearbook.

  言うまでもなく、アフリカの国全てが産油国というわけではありません。一方で、中国からの輸出先は、輸入に比べると、比較的分散しています。その輸出品目は、ほとんどが工業製品です。

             中国の対アフリカ輸出額(2009年:100万ドル)


    IMF, Direction of Trade Statistics Yearbook.

  つまり、中国は特定の産油国から大量に石油をはじめとする天然資源を輸入する一方、アフリカ全土に向けて工業製品を大規模に輸出しているのです。その結果、確かに大陸規模でみた場合、中国との貿易は"win-win"であったとしても、産油国以外のアフリカ諸国にとっては、対中国貿易は大幅な入超という事態になっているのです。資源と同時に、市場をも確保する。しかも、それを "win-win" のレトリックで正当化するところに、中国の戦略性を見出すのは、私だけでないでしょう。

  とはいえ、中国のアフリカ進出に対する欧米諸国の批判を、そのまま受け止めることにもまた、慎重であるべきと思います。ダルフール問題のように、中国がアフリカでの人権侵害に寛容であることは、確かです。しかし、政府による大規模な人権侵害はスーダンだけでなく、赤道ギニア、カメルーン、チャドなどでも日常化しています。ところが、これに関して欧米諸国は黙して語りません。端的にいえば、これらの国がやはり産油国で、しかも現政権が欧米諸国と外交的に良好な関係を築いているからです。

  チャドでは2006年以降、隣国スーダンに拠点をもつイスラーム過激派が散発的に流入し、デビー政権に対して敵対的な武装活動を行っていますが、この掃討作戦にフランス軍が支援を行っています。国民を武力で弾圧する点において、バシールやカダフィと、デビーの間に大きな違いはないはずですが、後者に対して欧米諸国は寛容です。これに鑑みれば、中国の "win-win" と同様、欧米諸国による「人権擁護」もまた、国家利益をコーティングするレトリックに過ぎない、というと言いすぎでしょうか。

  いずれにせよ、19世紀から、あるいはそれ以前から、アフリカを縄張りにしてきた欧米諸国、特にヨーロッパ諸国にしてみれば、中国の進出が脅威に映ることは確かです。これが、中国による進出の暗部を強調する論調が目立つようになっている背景としてあることは、否定できません。その一方で、これら欧米諸国の論調にそのまま従うことが、日本にとって望ましい方向性であるとは思えません。

  繰り返しになりますが、中国のアフリカ進出には弊害もあります。しかし、その一方で、労働者も大量に連れて行く中国の国営企業はともかく、アフリカへ進出する中国の中小企業の雇用者は、80パーセントがアフリカ人であるという報告もあります。つまり、中国の中小企業のアフリカ進出は、現地に雇用も生み出しているのです。

  これに代表されるように、良かれ悪しかれ、中国のアフリカ進出は、両者の相互依存関係を急速に深めています。その実態を見ずして、教条的に中国を批判することは、生産的でないばかりか、欧米諸国とアフリカの関係の暗部を等閑視することにもなりかねません。その意味で、アフリカそのものに視点を置くならば、いたずらに中国を非難する論調に迎合するより、その進出のあり方を、より厳密に検討する必要があります。そして、これは日本自身のアフリカへの関わり方を再考する、一つのヒントになる可能性があるといえるでしょう。



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